社会人のための社会科

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トルコの軍事クーデター

トルコで現地時間の7月15日夜にクーデターが起こりました。

強権的なトルコのエルドアン大統領に不満を持って反乱を起こしたとされていますが、失敗に終わり、少なくとも関与した6,000人が検挙され、その内、約3,000人の軍人が拘束されました。

戦闘も勃発したので最終的には数千人の死傷者が出るものと予測されます。

 

これだけの規模のクーデターなので軍のトップレベルの関与があったのでしょう。

 

トルコは地政学的に統治が最も難しい国の一つです。

 

ヨーロッパ側ではギリシャブルガリアと国境を接していますし、北の黒海を挟んでルールマニアなどのその他の東ヨーロッパに加え、ウクライナ、ロシアとも対峙しています。

そして南と東側はシリア、イラン、イラクアルメニアジョージアといった国々に囲まれています。

また南側の国境付近には数千万人のクルド民族が住んでいます。

ヨーロッパ、イスラム、アジア文化が融合した地域でもあり、交通の要地でもありカスピ海の油田のパイプラインも通っています。

 

トルコは昨年の11月にロシア空軍の戦闘機を撃墜し、ロシアとの関係が悪化していましたが、最近、エルドアン大統領はロシアのプーチン大統領と和解し、近々、会談する予定になっていました。

 

この動きに対してアメリカは快く思っていません。

 

アメリカ在住の反政府のイスラム指導者のギュレン師がクーデターに関与しているという見方があります。

またトルコのチャヴシオール外相はトルコ国内のインジルリク米空軍基地の軍人が関与したと発表しました。

アメリカ軍が関与したかどうかは分かりませんが、事前に察知はしていたと思われます。

 

ヨーロッパはシリア難民が流入し、各地ではテロが発生しています。

またイギリスでは6月23日にEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票離脱派が多数を占めました。

ヨーロッパは当面、不安定な状態が続くでしょう。

[2016年7月18日の日本経済新聞の記事など]

衆議院小選挙区の一票の格差について考える

2016年1月1日時点の住民基本台帳を元に日本経済新聞社衆議院小選挙区のいわゆる「一票の格差」を試算したところ最大で2.148倍になったそうです。

 

これは民主主義の根幹に関わる大問題ですが、何が問題かピンとこない人もいると思いますので補足説明をします。

 

総務省のホームページで2007年7月29日に行われた第21回の参議院選挙の各選挙区の候補者別得票数のデータがありましたので調べて見ました。

 

少ない得票数で当選しているのは人口が少ない地方の選挙区の議員です。

20万票以下の得票数で当選している議員を挙げてみました。

 

福井県松村龍二さん  193,617票

鳥取県川上義博さん  168,380票

大分県の磯崎陽輔さん  199,523票

・宮崎県の外山斎さん   196,685票

 

大都市では100万票以上の得票数で当選している議員もいます。

 

・東京都の大河原雅子さん 1,087,743票

・神奈川県の牧山弘恵さん 1,010,866票

大阪府の梅村聡さん   1,281,502票

兵庫県の辻泰弘さん   1,086,682票

・福岡県の岩本司さん   1,003,170票

 

その一方で東京都では65万票以上、神奈川県では69万票以上、大阪府では58万票以上それぞれ得票しているにも関わらず落選した議員がいます。

 

具体的な数字を見ると問題だということが分かるでしょう。

[2016年7月14日の日本経済新聞の記事]

東京都知事選挙の選挙戦がスタートした

東京都知事舛添要一さんの辞職に伴う東京都知事選挙が7月14日に告示され、選挙戦がスタートしました。

主な候補者は次の通りです。

 

小池百合子さん(元自民党

増田寛也さん(与党の推薦)

鳥越俊太郎さん(野党の統一候補

 

ジャーナリストの鳥越さんは実務経験や健康面を不安視する声も多いため、事実上、小池さんと増田さんの一騎打ちになると予想されます。

 

先ずは最近の都知事についておさらいをしておきます。

 

石原慎太郎さん (1999年4月23日~2012年10月31日)

猪瀬直樹さん (2012年12月18日~2013年12月24日)

舛添要一さん (2014年2月11日~2016年6月21日)

 

石原さんの後、猪瀬さんと舛添さんは「政治と金」の問題で辞任しています。

猪瀬さんは明らかに政治資金規正法に違反していますが、同様の事をして罪に問われていない政治家は日本には大勢います。

舛添さんに至っては贅沢しただけで何千万円もの公金を私的流用した訳ではありません。

2人とも辞任した理由は別のところにありそうです。

 

猪瀬さんは2007年に千代田区に計画された参議院議員宿舎の建築中止を提案して、利権に切り込んだのが辞任に追い込まれた理由とされていますし、舛添さんもオリンピックに絡んで規模の縮小を提案するなどしてトカゲの尻尾を踏んだのが原因でしょう。

そして猪瀬さんは自民党の都議会に、舛添さんは中央の自民党に対して敵を作りすぎたために失脚したというのが本当のところでしょう。

 

次の都知事は順当なら建設省(今の国土交通省)出身で岩手県知事や総務大臣の経験のある増田さんが当選するでしょう。

政治の裏の裏まで知り尽くしており、議会ともうまくやっていくでしょう。

一方、都民も都政の不透明な金の流れやオリンピックを巡る利権について気づき始めています。

もし小池さんが当選するようなことがあれば、甘い汁を吸っていた人たちは厳しい立場に追い込まれます。

この選挙は日本がどのような方向に行くのかを占う意味で重要な選挙となりそうです。

[2016年7月14日の日本経済新聞の記事]

南沙諸島をめぐる国際仲裁裁判所の判決

7月12日に国際連合海洋法条約に基づいてオランダのハーグの仲裁裁判所は中国が南シナ海で主権を主張している境界線は根拠がないとの判決を下しましたが、中国は当然ながらこの判決を受け入れていません。

国際法上は中国の主張には無理があるので、妥当な判断と言えるでしょう。

 

また南沙諸島に中国が造成した人工島については岩であるとして、島とは認めませんでした。

 

ここで国が領土問題で領有権を認められるための条件を挙げておきます。

単に領土を発見したり、そこに国旗を立てたりするだけでは不十分で、実際に一定期間、継続的に所有しないといけません。

この条件に照らすと中国は南沙諸島に人工島を造成し、西沙諸島にはミサイルまで配備しています。

いくら判決で島と認めなくても今後も埋め立てを続けて、人が住めるようになると領土として国際社会は認めざるを得なくなります。

事実上、中国がこれらを実効支配しているのは紛れもない事実だからです。

 

そこでフィリピンは裁判を通じて国際社会に訴えかけました。

周辺国は抵抗しないと中国の領土であると事実上、認めたことになるからです。

 

フィリピン単独では中国に対抗する力はありませんので、アメリカを味方につけて阻止していくしかありません。

 

ここでキーを握っているのはアメリカです。

アメリカはどこまで中国の主張を認めるかにかかっています。

一線を越えると軍事衝突に発展しますし、黙認するようだと益々、中国の国際社会における影響力が高まってきます。

[2016年7月12日の日本経済新聞の記事]